能楽資料館は昭和51年に設立。いにしえの丹波猿楽と、近世の城下町文化が育んだ風土の中で、能面・装束・楽器など能に関する資料の収集と研究を行い、全国で唯一の能楽専門の資料館として日本における伝統芸能の一拠点となっています。
能楽は日本の伝統ある舞台芸術ですが、私たちがいま一般的に演劇と呼ぶものの概念をかなり超えた姿を示し、文学や歴史・宗教、また音楽、美術工芸などさまざまな内容を包括した総合構成のかたちで舞台上に表現されます。
その格調高い芸術性は殊にすぐれ、現存する古典芸能では最も古い伝承として受継がれてきました。
過去六百年にわたる幾世代の洗練を積み重ねるうちに、原初の信仰心が持つ意味や、あるいは写実色の濃い演劇的な要素に比べて、優雅な美しさや内面への追求が高まり、やがて様式化の進んだ型(かた)であらわす象徴表現が濃くなり、しだいに詩的感覚から創造される幽玄の世界を醸し出すようになったのです。
現在みられる能の演出は、徳川幕府のもとで武家の式楽となり、世襲制度を迎えてからほぼ江戸中期以降の形態が定着したもので、面・装束および道具類にも創作期からの変遷のあとがうかがえます。これらの意匠は桃山風の豪華絢爛な好みが反映し、我が国の工芸美術の中に独特の位置づけをもっています。
能楽資料館は、いにしえの丹波猿楽や後世の城下町がはぐぐんだ風土のなかで、面、装束、楽器などの能に関する資料の蒐集と、研究活動をすすめつつ地域文化の高揚に寄与することを念願としています。
尚、館蔵の「能楽美術コレクション」は創立者中西通(丹波古陶館二代館長)が、昭和30年代後半より40年間に亘り蒐集したものです。
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